
デイヴィッド・サルツブルグ
統計学を拓いた異才たち
医療(臨床も含めて)に統計のスキルは必須です!!
医療に対する統計学には、大きく分けて2つあると思います。
1)1つは、論文などで得た知識をいかに目の前の患者さんに還元するかというスキルです。
これはいわゆるEvidence-Based Mdeicine(EBM)と呼ばれることで、
これに関連する書籍は多く、自己学習は可能であると思います。
EBMがどれだけ役に立つものかは、それを修得した者だけが語れます。
確かにEBMは万能ではありません。
しかし、限界があるから身につけないというのは間違っています。
これは臨床医にとって患者さんの治療に役立つスキルです。
患者さんのためになる可能性があるスキルがあるのに、
それを習得しないのは、プロフェッショナルリズムにおとります。
2)もうひとつは、得られた臨床データをいかに統計学的スキルを用いて要約するかです。
こちらがいわゆる統計学のスキルになります。
正直、これといった教科書は少なく、独学では挫折しやすい領域です。
いろいろ教科書を読みながら、『R』などの統計ソフトを用いて、
自分の臨床データをごちゃごちゃ触っているうちに、身についていくものです。
人間の認知力には限界があります。
特に、因果関係や、確率の認知は、我々が思っている以上に限界があります。
臨床医が経験を積んでいくうえで、自分の経験を誤った方向に認知しないためにも、
臨床データから、客観的に自分の診療をながめることは、重要なことです。
さて今回紹介する『統計学を拓いた異才たちは』は、
なかなか習得するのに挫折することが多い統計学に対する、
20世紀の近代統計学における、数多くのエピソードとともに綴る統計学史です。
ピアソンとフィッシャーが繰り広げる知恵比べ
t検定のtとビール会社の関係は?
もちろん医療における統計学のかかわりも多く登場します。
こうした歴史というストーリーと、
様々な検定法を発見した偉人の人柄に触れることで、
検定法の意味と立ち位置がすっきり頭に入ってきます。
一度でも、統計学にひっかかりを覚えたことがある方には、
特にお勧めです。
(2010年4月に文庫本のタイプも出版されています。)
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