アトゥール・ガワンデ
チェックリストの力を信じる外科医アトゥール・ガワンデが提言する
「チェックリスト」作成のススメです。
著者は外科医であると同時にジャーナリストでもあり、
医療だけではなく、経営、投資、飛行機、建築、料理などでも
チェックリストが使われており、
驚くような成果が生まれていることを事例を通じて紹介していきます。
ピーター・プロノボスト医師が中心静脈カテーテルの挿入の感染予防の
チェックリストを作った。
1.石鹸で手を洗う
2.患者の皮膚をクロルヘキシジンで殺菌する
3.滅菌覆布で患者を覆う
4.マスク、滅菌ガウン、滅菌手袋をつけ、カテーテルを挿入する
5.刺入点をガーゼで覆う
という手順でした。
三分の一以上の患者で一つ以上の手順が飛ばされていることが分かりました。
そこで、看護婦に医師が一つでも手順を飛ばすと、
カテーテル挿入を止める権限を与えたところ、
カテーテル挿入から10日間の感染率が11%から0%まで下がったのです。
導入を推奨したが、実際にチェックリストを受け入れた医師は少数であり、
ある医師は馬鹿にされたと思って怒り出し、
ある医師は効用そのものに懐疑的だったのです。
著者のガワンデ医師は、チェクリストの力を信じて、
様々な業界(主に航空・建築)の事例を参考にしながら、
チェックリストを作成していきます。
そしてその結果は、死亡率は,チェックリスト導入前は 1.5%であったが,
導入後には 0.8%に低下し、
合併症は,ベースラインでは患者の 11.0%で発生したが,
チェックリスト導入後は 7.0%に低下するという、
目を見張る結果を生み出すのです。
なぜ、チェックリストは使われないのだろうか?
手間がかかる、面白くないといった理由もあるが、
手間がかかる、面白くないといった理由もあるが、
本質的な理由は、優秀な人たちはチェックリストを使うことを
恥ずかしいと思っていることではないだろうか。
複雑で危険な状況でも、度胸と工夫で乗り切ってしまえると思い込んでいる。
この本のもっとも重要な指摘はこの部分である。
どの分野にもプロフェッショナリズムがある。
3つの条件があると思われる。
『無私である』、『腕がよい』、『信用に足りる』ということである。
しかし、航空機業界では、四つ目として『規律』を付け加えた。
しかし、航空機業界では、四つ目として『規律』を付け加えた。
良くできた手順には従い、必ず他者と協力しあうことだ。
いくつかのポイントがあるという。
ポイント1:いつチェックを行うか、つまり一時停止点をはっきり決める
ポイント2:「行動のち確認」か、「読むのち行動」のいずれのチェックリストにするかを決める
ポイント3:長すぎない。原則として項目は5~9個
ポイント4:キラーアイテム(飛ばされがちだが致命的な手順)に絞る
ポイント5:文章がシンプルである
ポイント6:見た目がよく、できれば、1ページ以内
ポイント6:必ず実世界で試用されている
最後にチェックリスト作成のためのチェックリストが掲載されています。
以下でWHO作成の様々なチェックリストを見ることができます。
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