2010年6月19日土曜日
影響力の武器
ロバート・B・チャルディーニ
影響力の武器
アメリカを代表する社会心理学者の1人で、自分自身だまされやすい人間だったという著者が、
多彩な実例を挙げながら、人間心理における承諾のメカニズムを解明していきます。
なかなか商品が売れないお土産屋さん。
店主はいい加減商品が売れないのに頭がきて
『その陳列ケースの品は、全部価格に1/2を掛けておいて』とメモを残しておきます。
担当者は、メモを読み間違い、価格を2倍にしてしまいます。
ところが、陳列ケースの品はほとんどが売れてしまいました。
なぜでしょうか?
著者は、統計学を専門としている友人とともに、
超越瞑想プログラムの入門講座に潜入します。
このプログラムでは、初歩は心の安らぎから、
プログラムが進めば超人的な能力がこの瞑想によって手に入ると勧誘します。
著者と友人は、講義終了後の質問時間に、
講義の中で用いられていた内容が、どう矛盾し、いかに非論理的であるかを、
正確に指摘しました。それに対して講演側は反論できませんでした。
ところが、その議論を聞いていたにもかかわらず、
数多くの参加者はそのプログラムに参加しようとしました。
なぜでしょうか?
クリスマスシーズンから一ヶ月後、町の大きなおもちゃ屋さんで、
人気のあるおもちゃを子供のために買いに行きました。
そこでおなじおもちゃを買いにきている友人に出会います。
なんと、その友人には同じ時期に、去年もその場所で会っていたのです。
なぜでしょうか?
テレビ関係者はどうして録音笑いをこれほど頻繁に使用するのでしょうか?
視聴者は不愉快に感じ、出演者は侮辱を感じると言うのに、
録音笑いを使用すれば、実際の笑いの回数も長さも多くなることが分かっています。
なぜでしょうか?
ある種の自殺が広く報じられた直後には、
商業用飛行機の墜落で死亡する人の数が10倍になることが明らかになっています。
さらに驚くことに、自動車事故による死亡も急増するのです。
なぜでしょうか?
ある病院で、実験が行われました。
会ったこともない医師からの電話による指示にもかかわらず、
適応外使用の薬品の投与だったにも関わらず、
その投与量は適応量の倍であったにもかかわらず、
95%の看護師がこの医師の指示に躊躇なく従おうとしたのです。
なぜでしょうか?
学術雑誌にすでに投稿されており、有名大学の研究者によって書かれた論文を選び、
内容はそのままに、投稿者の名前だけ無名な研究者に変えて、
その論文が掲載された雑誌に再び投稿しました。
このうち9編は投稿済みであることが確認されずに審査に回され、
このうち8編は棄却されました。
なぜでしょうか?
医師は多くの人に影響を及ぼします。
もちろん、多くの人から影響を受けます。
悪い結果を生む影響力を排除し、
良い結果を生む影響力を生み出すためには、
人間がどのように影響を受けやすいかを知っていなければなりません。
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