代替医療のトリック
鍼、カイロプラティック、ホメオパチー、ハーブ療法といった
代替医療が有効であるかどうか科学的に迫っていきます。
すなわちエビデンス=ベースト・メディシン(EBM)として知られる方法です。
内容は、一般向けにわかりやすく書かれていますが、
医師が読んでも十分耐えられる質となっています。
っというか、むしろ、医師の中でここまで
科学的根拠にもとづく医療をきちんと行えている人は少ないのではないでしょうか?
そういったわけで、特に、医師におすすめする一冊です。
EBMを習得している人は、
代替医療のEBMがどうなっているか楽しみながら理解できます。
EBMを習得していない人には、
EBMを習得する足がかりにしていただけたらと思います。
著者らもこう本書の役割を説明しています。
第Ⅰ章で、科学的方法について説明します。
科学者たちは治療法の効果を、
実験と観察によってどのように判定するかを見ていきます。
著者はもしあなたが科学の力に懐疑的な人でも、
せめて第Ⅰ章は読んでもらいたいといいます。そしてこう続けます。
科学が代替医療の効果を判定する最善の方法だとは思えないという人もいるだろう。
そういう人は科学が何を言おうと、
自分の世界観を手放す気はないのかもしれない。
『代替医療はどれもこれもクズだ』という確固たる信念の持ち主もいるだろうし、
逆に、『代替医療はあらゆる痛みや病気を癒してくれる万能薬だ』といって譲らない人もいるだろう。
本書はそういう人のための本ではない。
科学的方法で真実を判定できると考えるつもりが全くないのなら、
第Ⅰ章を読むことすら意味はない。。。
しかしもちろん、われわれの願いは、あなたが結論を急がず、
本書を読み進めたいと思ってくれることだ。
大部分の代替医療は、
多くの症状についてプラセボ効果を上回る効果はないと言ってよいことがわかります。
ここで、代替医療をめぐる問題の中でも、もっとも議論のある、
きわめて重要な問題の一つが浮かび上がる。
代替医療がほぼプラセボ効果だけに頼っているとしても、
代替医療のセラピストがプラセボ効果を利用して
病気の人の力になってはいけない理由があるだろうか?という問題だ。
これに対して著者らは、
医者をはじめとする医療関係者がプラセボ効果のために代替医療を用いることは
間違いだと、強く信じていると述べています。
その根拠は、医師と患者との関係が、
嘘のない誠実なものであってほしいと思うからということです。
もしも医師がホメオパシーの薬を処方する決心をすれば、
プラセボ効果を引き出すためには患者に嘘をつかなければならないからです。
さらに、代替医療がこれだけ必要とされている現状の責任の一旦は
医師にもあると著者らは言及しています。
そうした第一の医師は、患者に代替医療を勧め、
じつはその治療法に効果がないことを知らない無知な医師。
第二の医師は、治療するまでもない患者に満足感を与えようとして、
代替医療を勧めてしまう不甲斐ない医師。
そして第三の医師は、患者に不満を抱かせて代替医療に向かわせる、
配慮の足りない医師である。
うーん、耳が痛いです。
安易に患者さんが代替医療に手を出さないように、
医師としての態度を見直す必要を感じました。
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