2011年3月5日土曜日

まぐれ


ナシーム・ニコラス・タレブ

まぐれ

原題は『Fooled by Randomness』です。

大学では不確実性の科学を教え、

マーケットでは特異なヘッジファンドを運用している投資のスペシャリストが、

トレーディングと人生において

『運』と『実力』の区別がどれほど難しいか、

また、人間はなぜ自分の知識を過大評価するようにできているかについて、

行動経済学、心理学、哲学などによって明らかにしていきます。


『運』を『能力』と取り違え、

『偶然性』を『必然性』と取り違え、

『確率的』を『確定的』に、『信念』を『知識』に、

『理論』を『現実』に、『逸話』を『因果』に、

『予測』を『予言』に取り違えてしまう、

そんな人間について言及します。


医者もそんな人間の代表です。

自然経過を治療効果に取り違え、

治療効果を、確定的に、大きく見積もり、

自分の信念を、医学知識に置き換え、

理論を現実だと取り違え、

逸話的な例を法則だと考え、

単なる予測を予言として、患者に話す。


著者の話している内容は、多岐にわたり、半分も理解できていませんが、

その根底で一貫して主張されている内容はすんなり入ってきます。

おそらくは、巻末の多くのリファランスを読めば、

もっと多くのことが理解できるようになるのでしょうが、

自らの未熟を思い知らされます。


ランダム性、バイアス、確率、リスク、こうした問題に興味のある方、

逆に、まったくそういったことに無意識的である医師に、

読んでほしい一冊です。

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