2010年5月30日日曜日

ウェブ進化論


梅田 望夫

ウェブ進化論


新書といっても2006年発行です。

ですが、多くの人にとってまだ新しい内容であると思います。


けっしてインターネットに限定した話ありません。

これは、情報の共有・伝播の話でもあると思います。


医療において知識・情報が担う役割が大きいことは周知です。

ところが、医療においてこそ、知識は多くの人に共有されるべきなのに、

まだまだ国内であっても固定的であり、

そして言語的な問題から、国外の知識はさらに共有しづらくなっています。


以下抜粋

そしてそれは、詰まるところの『プロフェショナルとは何か』
『プロフェッショナルを認定する権威とは誰なのか』
という概念を革新するところへとつながっていく。
英語圏では、分野限定的だがこの問題が表面化しつつある。
ネット上の玉石混合問題さえ解除されれば、在野のトップクラスが情報を公開し、
レベルの高い参加者がネット上で語り合った結果まとまってくる情報のほうが、
権威サイドが用意する専門家(大学教授、新聞記者、評論家など)
によって届けられる情報よりも質が高い。
そんな予感を多くの人が持ち始めた。
そしてこの予感が多くの分野で現実のものとなり、
さらに専門家もネット上の議論に本気で参加し始めるとき、
既存メディアの権威は本当にゆらいでいく。

抜粋終わり


権威による講演や出版物を通しての情報の提供

徒弟制度による情報の提供

も大切な情報の入手方法です。

しかし、医療の性質上、もっと、情報に流動性を持たせて、

多くの人が入手しやすい状態にしていくことが必要でないでしょうか?



そしてもうひとつ、オープンソースの話に言及しています。


以下抜粋

『オープンソース』とは、
『知的資産の種がネット上に無償公開されると、
世界中の知的ソースが自発的に結びつき』
しかも『集権的リーダーシップが中央にいなくとも、
解決すべき課題に関する情報が共有されるだけで、
その課題が次々と解決される』という原理原則に基づき、
複雑的な構築物でも開発できるという発見を意味していた。
そしてその発見は、『なぜ人は働くのか』『企業組織だけが万能ではないんだな』
といった普遍的かつ根源的な問いかけや予感をも誘発した。
『オープンソース』はソフトウェア世界を超え、
世の中全体に応用できる考え方なのではないかと思わせるだけの、
不思議な魅力を秘めていたのだ。

抜粋終わり


研究をされている方は、統計ソフトを使用されることも多いと思います。

最近は『R』という統計ソフトが、オープンソースとして公開され、

だれでも無償で使用でき、そしてその内容は、

有償のソフトと差がないものとなっています。


こうした話が当たり前だと思えない方は、

ぜひ、一度、読んでみていただきたいと思います。

2010年5月26日水曜日

『学び』で組織は成長する


吉田 新一郎

『学び』で組織は成長する


ぼくがビジネス書を読むようになったのは、

毎日精いっぱい生きる事が一番の修行なのです

がきっかけです。確か、この新書もここで紹介されていました。


学習と組織という視点のビジネス書としては

最強組織の法則

が有名だと思いますが、ぼくは挫折しました。

こちらは、新書だけに、読みやすく、内容も吸収しやすくなっています。


取り入れやすい学習法が、

1人でできる学び

2人でできる学び

チームでできる学び

組織レベルの学び

とわけて、列挙されており、取り入れやすくなっています。


医者が医局に所属している理由としては、人事的な要素も大きいとは思いますが、

所属していることで、学習し、成長する機会が多く得られるということもあるはずです。

昨今、医局の組織力の低下は、

医者にとって学習する機会が以前よりも医局外でも幅広く提供されるようになり、

医局が学習と成長を以前より後押しできなくなっていると言うのも理由な気がします。


ドラッカーも、

『働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。

そのためには、

①生産的な仕事

②フィードバック情報

③継続学習

が不可欠である。』


と言っています。


もし、医局や、病院の組織力が落ちていると感じるのであれば、

所属する医師にとって、

学習しやすい環境になっているかという視点も大切だと思います。

2010年5月7日金曜日

さぁ、才能に目覚めよう


マーカス・バッキンガム

さあ、才能に目覚めよう


成長するためには、弱点を克服すべきでしょうか?

それとも、強みを伸ばすべきでしょうか?


前回、紹介したドラッカーの『プロフェッショナルの条件』でもこう言っています。

『誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思っている。

だが、たいていは間違っている。

わかっているのはせいぜい弱みである。それさえも間違っていることが多い。

しかし何事かを成し遂げるのは、強みによってである。

弱みによって何かを行うことはできない。

できないことによって何かを行うことなど、とうていできない』




本著では、

「人間の持っている34の強みとなりうる資質」について細かく分析し、

強みの活かし方を教えてくれます。


自分が幸せに生きるためには、自分がやりたいことをやったほうがいい、

というのは言うまでもなく、

自分の「強み」をなるべく活かすような人生にしたほうがいい、

というのは当然だと思われます。

ところが、自分の強みとは何なのかが、普通はなかなかわからないものです。

では、自分の強みはどこにあるのか、それを知る上で非常に有効なのがこの本です。

自分の強みが分かると、自分の好みや行動パターンも得心できるし、

逆に自分の弱点がわかれば、弱点ともうまく折り合っていけるようになります。


なんと、この本、カバーの裏側にIDがプリントされていて、

ウエブサイトにアクセスすると無料で診断が受けられ、

自分の強みとなりうる資質を見つけてくれるのです。

さらに、その強みそれぞれを伸ばすにはどうしたらいいかについても、

教えてくれます。


大切なことは、教えてくれるのは資質であり、

その資質を生かして強みとして伸ばせるかは、その人の行動次第です。

資質がマイナスに作用して、弱点にもなりえます。

僕自身、自分の資質を意識して、

強みを伸ばすプロセスを様々なところに取り入れることに非常に役立っています。

身近な人を理解して、その人とWin-Winな関係を築くことにも役立つはずです。

2010年5月4日火曜日

プロフェッショナルの条件


P.F.ドラッカー

プロフェッショナルの条件

医師にとってビジネス書の中でも

入りやすい分野の一つが、プロフェッショナル論だと思います。


どうしたら、さらなる高みに達することができるか、

どうしたら、プロとして胸を張れるのか、

プロフェッショナルの条件とはいったい何でしょうか?



著者のドラッカーは、現代マネジメント思想の巨人と言われ、

その思想は経済界に強い影響力を及ぼしています。


内容は、初めに読むには少し難しいかもしれません。

ただ少し難しくても、まずは読んでみてください。

そして難しければ、また、読み返してみてください。

再読した時に、新たな発見があり、そして、

自分の成長を確認することができると思います。


ドラッカーは、セルフマネージメントについて、

自身の人生を変えた経験として以下をあげています。

1)ビジョンを持つこと

2)神々が見ているという考え方(真摯さを重視する)

3)継続学習を行う

4)仕事ぶりの評価を仕事そのものの中に組み込む

5)記録し、実際の結果と比較する

6)新しい仕事が要求するものについて徹底的に考える