2011年7月15日金曜日

プレゼンテーションzen デザイン


ガー・レイノルズ

プレゼンテーションzen デザイン


以前紹介した『プレゼンテーションzen』の続編です。

今回はビジュアルコミュニケーションのデザイン全般に重点を置き、

スライドデザインの構成要素である

サイズ、配置、色その他の要素とのバランスを慎重に考慮することの必要性や、

余白や角度といった要素の持つ聴衆への影響などを、

豊富なサンプルとプロフェショナルなアドバイスを交えてわかりやすく解説しています。


プレゼンテーションzenの内容に惹かれた方には、

その具体的なスライドづくりに言及している本書は必ず役立つはずです。


1)タイポグラフィの活用

一番後ろの席の人に合わせる(でっかく行こう)

文字の間隔を意識する(書式>行間>段落前、段落後)

書体の選択(P60)、大体の目安は1~2つ

テキストの配置(傾けたり、視線の先に配置)


2)色彩によるコミュニケーション

同じ色相を使うことで、全体的に統一感のある、プロフェッショナルな仕上がりに

類似色を使用して、色の調和を保つ

補色を用いて印象を強烈に(時に強烈すぎるので、明度や彩度を調整することも)

白黒にワンポイントカラーを加える

大きな会場や照明の暗い会場では、背景色は黒っぽく、
たいていの場合は十分に明るいので白っぽい背景でもOK

自分だけのカラーパレットを作る(kuler.adobe.com)


3)写真や動画でストーリーを語る

裁ち落としにすることでインパクトを出す(P117)

最適な解像度(100ppi:800×600、1024×768)

1枚のスライドで1トピックに絞る

iStockphotoのCopyspaceの活用


4)データを簡素化する

SNRをできる限り高くする

3つの基本原則(自制心を働かす、減らす、強調する)


5)スペースを活用する;余白の持つ美しさ

対称的デザインと非対称的デザイン

視線を誘導する

スライドの枠外のスペースを暗示する

人物画像は時に避ける

6)調和を生み出す

グリッドを使う(3分割法、5列4行)


2011年7月1日金曜日

医療改革をどう実現すべきか?


マーク・ロバーツ、ウィリアム・シャオなど

医療改革をどう実現すべきか?

著者たちはこう言っている。

医療改革をただしくやることは容易ではないと繰り返し主張してきた。

利益団体、政党、官僚機構は優先順位も違えば、志向する政策も異なる。

既存の勢力は変化に抵抗する。

医療制度が複雑であるということは、

ほとんどどんな政策にとっても予期せぬ結果をもたらしうるということである。

経済的不安定、政治的混乱、社会・文化的発展度合いによっても、

どのような政策が可能あるいは必要とされるかが変わる。

実際、正しい医療改革のための単純な方法はないので、

私たちの指針は常に多様な要素を前提条件としている。


その上で教訓的に言えることは、

(1)医療制度は、時には対立を繰り返しながら、

様々な目的にそうように進化してきた複雑な社会経済的存在である。

(2)いかに複雑であっても、一国の医療制度が生み出す結果は、

公共政策を適切にデザインし実施することにより改善することができる。

(3)効果的な改革パッケージをデザインするためには、

改革しようとするシステムそのものに対する深い理解が必要となる。

(4)結果の改善に焦点を当てた改革でなければ、

いくら事情が理解できても、パフォーマンスが低下する。



それでは、実際、どのように改革を進めたらいいのだろうか?

(1)目標を明確にする

具体的には、パフォーマンス目標と、中間指標が存在する。

パフォーマンス目標とは、健康状態、顧客満足度、経済的保障であり、

中間指標は、効率、質、アクセスである。

様々な倫理的思想(功利主義、自由主義、共同体主義など)によって、

優先する目標は異なってくる。

政治的条件も影響する。

優先順位づけは戦略的に行うべきである。

(2)目標を実行するための公正な診断を行い、

自国の状況において効果が期待できる計画を立てる。政治を受け入れる。


5つのコントローラがある。財政、支払い、組織、規制、行動の5つであり、これらはお互いに影響し合う。


(3)実施に焦点をあて、過ちから学ぶ


本著の中で明らかにしているが、4人の著者は、

平等主義的コミットメントを中心に据えた倫理的視点に立っている。

そして、国家は国民の中の最も恵まれない人たちが得ることのできる機会を

改善することを優先すべきだと考えている。

そのため、倫理的思想が異なると、著者たちの考えには素直に従えないところもある。

そうした場合は、必要に応じて著者たちの提案を調整し、味付けをして欲しいと言っている。


医療制度に焦点をあてた医療改革についての書であるので当たり前だけど、

医者はあくまで改革の対象で、もしくは圧力団体とされている印象を受け、

読んでいて、好感が持てる内容ではなかったです。

確かに内容は間違ってないのでしょうが、結局、解決策が提示されているわけではなく、

改革のひとつの方法が示されていると言うだけで、

うまくいくかどうかはまた別の次元の話のような気がします。

本書の内容の方が現実なのでしょうが、

『医療戦略の本質』の内容の方が、医者にも役割があり、夢があって好きかな。