2014年8月27日水曜日

やってのける

やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす

ハイディ・グラント・ハルバーソン
 
 
 
 
目標達成能力、自己管理能力、幸福感を高めるための
 
最適なアプローチを研究している、
 
モチベーションと目標達成の分野の第一人者の社会心理学者による
 
目標達成に関する内容です。

 

著者は、目標を達成する能力は、誰でも必ず伸ばすことができると断言します。

しかし、あらゆる目標が簡単に達成できる3つの方法のような単純なものでないと言います。

 

内容は大きく分けて、
 
目標の作成と作成された目標の実行方法のふたつに分かれますが、
 
目標作成に関してまとめました。

 

1)目標は具体的に、ハードルは少し高めに設定する

目標達成の過程で直面する問題の多くは、
 
シンプルな条件型計画』によって解決できます。
 
条件型計画は、行動機会を逃さない、障害物を避ける、
 
不安や自信喪失に対処する、
 
問題に直面しても粘り強く努力するなどさまざまな効果をもたらします。

(1)  をするか決める:具体的な明確な行動を設定する

(2)  時間場所を決める:その行動をいつどこで実行するのか決める

(3)  障害物を明らかにする:その対処をあらかじめ考えておく

 

2)『証明型』の目標と、『習得型』の目標

自分の能力を証明することに重点を置く『証明型』の目標は、
 
順調に進む場合、やる気を高め、目覚しいパフォーマンスを導きます。
 
しかしうまくいかないときは自分に能力がないと早々に結論づけるため、
 
簡単に諦めてしまう傾向があります。

 
能力を伸ばすことに重点を置く『習得型』の目標は、

困難を乗り越えやすくなります。

ネガティブな経験を、改善のチャンスと捉えるからです。

習得型の目標を持っていると、

到達までの道のりに興味や楽しさを見出しやすくなります。

よい計画を立てやすくなり、必要な時に適切な助けを求めやすくなります。

一般に、証明型より習得型の方が望ましいと言えます。

 

3)『獲得型』と『防御型
 

獲得型のフォーカスでは、『手に入れたいもの、達成したいこと』に注目します。

防御型のフォーカスでは、『守るべきもの、しなければならないこと』に注目します。
 

獲得型の志向は、楽観主義によってモチベーションが上がり、

困難を乗り越えやすくなります。防御型の目標の場合、

過度の楽観は油断につながるので、

やや悲観的なくらいがちょうどいいと言えます。

獲得型志向は、機会を逃すことを嫌い、

リスクを承知でできるだけ行動を取ろうとします。


防御型志向は、ミスを犯すことを恐れるために、

確実な成功が期待できない限り、行動を取ろうとしません。
 

たいていの人は、獲得型か防御型かどちらかへの偏りがあります。

ただし、状況や目標のタイプによって、

どちらの志向が適切か把握して適切にアプローチすることが大切です。

 

やる気がわかないとき⇒

モチベーションを高め挫折しないためには『なぜ』を考える。

また防御型の思考によって、失敗すると失うものをイメージすると効果的です。

 

難しくて不慣れな行動をするとき⇒

『何』の視点から考える

目標を具体的に設定する。

習得型の目標を持てば、失敗しながらも繰り返しながら少しずつ成長することができます。

 

誘惑に負けそうな時⇒なぜの思考、防御型の思考

スピードが必要なとき⇒獲得型の目標

正確さが求められる⇒防御型の目標

創造性が求められるとき⇒獲得型の目標

過程を楽しみたい時⇒習得型の目標を、自発的に設定する

2014年6月18日水曜日

人を動かす新たな3原則

人を動かす新たな3原則 売らないセールスで誰もが成功する!

ダニエル・ピンク

 
 

ハイ・コンセプト』『モチベーション3.0』に続いてのピンク本です。

相変わらずわかりやすく頭にすっと入ってくる内容です。

個人的には内容自体は目新しい内容は少なく、
以前の本と比べるとスケールの小ささを感じましたが、
それでも、こうした概念を理解しておくことは役立つと思います。

 

今回の内容は『セールス』についてです。

えー、セールスなんて自分には関係ないよと思った人もいるかもしれませんが、

今回は、セールスはセールスでも『売らないセールス』についてです。

 

現在、職場で過ごす時間の40%が、

売らない売り込み

-購入行為に誰ひとり関与せずに、他人を説得し、影響を与え、納得させること-

にあてられている。

たとえかなりの時間を費やす必要があるとしても、

この側面は仕事で成功を収めるうえで不可欠だとみなされている。

 

以下の4つの質問のうちひとつでも当てはまる人はセールスに関連しています。

(1)  商品やサービスの購入を人に勧めることで生計を立てているか?

(2)  独立して働くか、副業であっても何か自分で事業を営んでいるか?

(3)  仕事にスキルの弾力性が求められるか?つまり、境界と役割を超える能力、専門外の領域で働く能力、終日、多様な業務をこなす能力が求められるか?

(4)  教育か医療の分野で働いているか?

医師は間違いなく売らない売り込みに関係していることになります。

 

売らない売り込みには、3つの有益な特質と、3つの重要な能力があります。

まずは3つの有益な特質から。それは、同調、浮揚力、明確性です。

    同調

他者や集団、背景との調和をもたらす力です。同調には3つの原則があります。

1)自分ではなくひとの視点を理解して、その人の目を通して理解する(視点取得)。

2)相手に感情的に共感するだけではなく、相手の視点に立って考える。

3)相手の真似をしていると気づかれないようにそれとなく真似る

また、セールスには外交的な性格が向いているような気がしますが、

実際には両向的な性格が必要です。

    浮揚力

精神的強靭さと楽観的見通しを併せ持つことが必要です。

他人を動かそうとするとき拒絶な大海と呼ぶ状態に必ず直面します。

    明確性

不透明な状況を理解する能力です。

セールスには問題解決が重要だと考えられてきましたが、

現代においては、問題発見の方が重要なのです。

 

次に3つの重要な能力、ピッチ、即興、奉仕です。

ピッチ

ピッチとは売り向上、売り込みをかけることです。

長年使用されてきたエレベーターピッチは時代遅れになってきています。

それに代わる6つのピッチが紹介されています。

即興

完全に同調している場合でも、適切な浮揚力がある者でも、超明快な売り込みでも、

失敗を避けられなかったらどうすべきか。

経験豊富な即興劇のルールを学べば、説得力を高められる。

奉仕

通常のセールスでも、売らない売り込みにとっても重要となる。

人間味を持たせる、目的を持たせるという二つの原則がある。



2014年4月21日月曜日

スタンフォードの自分を変える教室

ケリー・マクゴニガル

スタンフォードの自分を変える教室


邦題は『スタンフォードの自分を変える教室』という他人に見られるのが小っ恥ずかしい題名です。

おそらくハーバード白熱教室を意識し、読めば自分が変えられるという変身願望に訴えた題名なのでしょうが、こういう題名の方が売上伸びるのでしょうか?

ぼくは正直、この題名のおかげで読むこと避けていました。

 
さて、もともとの題名は『The Willpower Instinct』で、

意志力に関して科学的に考察し、

それを実践レベルに落とし込んだ内容となっています。

 
著者はスタンフォード大学の医学部健康増進プログラムにて、

患者がストレスと上手に付き合い、健康的な選択をするためのお手伝いをしている健康心理学者および教育者です。

そのなかで、多くの人が自分の考えや感情、体や習慣を変えようとして苦労している姿に接する中で、

意志力に関する思い込みの多くが、成功を妨げ、不要なストレスを生んでいることに気がつきます。

そこで、スタンフォード大学生涯教育プログラム講座で『意志力の科学』という人気講座を立ち上げ、それをまとめたのが本書となります。

 
Step

(1)  意志力は、『やる力』、『やらない力』、『望む力』の3つがあることを意識する。

(2)  瞑想は、意志力の増強に役立つ

1)     動かずにじっと座る

2)     呼吸に意識を集中する

3)     呼吸をしている時の感覚をつかみ、気が散り始めたら再び意識する

4)     まずは1日5分からはじめ、時間を伸ばしていく

 

Step

ストレスは意志力を低下させる

1)              呼吸をゆっくりすれば意志力アップ(1分間に4-6回)

2)            グリーンエクササイズで意志力アップ(近所を5分間歩き回るだけでもOK

3)             睡眠の確保で意志力アップ(最低6時間は確保)

4)            体にリラクゼーションで意志力アップ(瞑想!)

 

Step

意志力を鍛える

(1)  やるべきこと(やる力)、やってはいけないこと(やらない力)をひとつ決めて具体的な行動に落とし込み、きちんと記録をつけて実行する

(2)  意志力の中でも、最強なのは『望む力』、誘惑に負けそうになったり、諦めそうになったら、いつでもこの力のことを思い出す

    成功させたらあなたにどんないいことがありますか?

    成功させたら周りにどんな恩恵をもたらしますか?

    がんばって続けていけばだんだん楽になることを想像しましょう

(3)  お菓子の代わりにナッツを食べる

体に持久力のあるエネルギーを与えてくれる食べ物を補給

 

 

注意1

意志力のチャレンジを取り組むにあたり、道徳的によいことをしているような気分になると、良いことをした分、悪いことをしてもいいような勘違いを起こします。自己コントロール力を向上させるには、道徳的な善し悪しよりも、自分の目標や価値観をしっかりと認めましょう。

 

注意2

欲望は、行動を起こすために脳が仕掛ける戦略です。欲望は自己コントロールを妨げる驚異にもなれば、意志力の源にもなります。欲望自体は良くも悪くもありません。大切なのは、欲望によって自分がどこに向かおうとしているか、そしてどういう場合なら欲望に従っていいか見極められるかなのです。

 

注意3

落ち込んだり、ストレスを感じると誘惑に負けやすくなります

1)            ストレスを感じる情報を避けましょう(悪いニュースなど)

2)            失敗しても、投げやりにならず、自分を許しましょう

3)            決心しただけで満足してませんか?

4)            ストレス解消法を実践しましょう

 

注意4

将来のことを思い描けずにいると、誘惑に負けたり、物事を先延ばしにしたりしてしまいます。

1)            どんな誘惑を感じても、10分間待ってみましょう

2)            逃げ道をなくす

    決めたことを実行するために手を打っておく

    望んでいることと逆のことをやりにくい状況を作る

    モチベーションを与える

3)            将来のことを思い描く

 

注意5

意志力は周りの人達からの影響を受けます。そのせいで、他者の意志力にも誘惑にも感染します。

 

注意6
 
思考や感情、欲求を押さえ込もうとするのは逆効果で、そうするとかえって自分がどうしても避けたいと思うことを考えたり、感じたり、行ってしまうこと