2011年8月5日金曜日

フロー体験 喜びの現象学


M. チクセントミハイ

フロー体験 喜びの現象学


『モチベーション3.0』にて指摘されていた、

モチベーションコントロールのために必要な3つの要素は、

『自律性』『マスタリー』『目的』でした。

本書で述べられている『フロー』は特に『マスタリー』との関連で紹介されていました。

マスタリーはフローではじまります。

フローとは、取り組んでる課題が本質的に自分の能力と整合している場合の最適経験のことで、

日々の活動を難しすぎず、易しすぎない業務にする必要があるのです。


時間を忘れて、仕事に没頭し、成果を上げられる体験は、非常にエキサイティングなことです。

それがフロー体験です。

フロー体験とはどのような条件で達成できるのか、その謎に迫ります。


以下、要約

内的経験の最適状態というのは、意識の秩序が保たれている状態である。

これは心理的エネルギー(つまり注意)が現実の目標に向けられている時や、

能力(skill)が挑戦目標と適合している時に生じる。

1つの目標の追及は意識に秩序を与える。

人は当面する課題に注意を集中せねばならず、その間は他のすべてを忘れるからである。

挑戦目標の達成に取り組んでいる時が、生活の中で最も楽しい時である。

心理的エネルギーの統制を達成し、

それを意識的に選び取った目標にむけた人は必然的により複雑な存在へと成長する。

このような人は能力を高め、より高度な挑戦目標へと近づくことによって、

次第に非凡な能力を持つ人間に代わっていく。


フローの要素

能力を必要とする挑戦的活動

好意と意識の融合

明確な目標とフィードバック

今していることへの意識集中

自意識の消失

時間の返還



仕事を通して生活の質を高めるには、ふたつの補足的戦略が必要である。

1つは仕事はできるだけフロー活動(狩りをする、小屋を作る、手術をするなどのように)に

似せるよう設計しなおされねばならない。

しかしまた、挑戦の機会を認識し、能力を磨き、

達成可能な目標を設定できるよう人々を訓練することによって、

自己目的的なパーソナリティを発達させるように手助けすることも必要である。

これらの戦略の1つだけが仕事をより楽しいものにするとは思えない。

両者がそろうことにより、それらは大きな最適経験におおきく貢献するのである。


仕事中、人々は能力を発揮し、何ものかに挑戦している。

したがってより多くの幸福・力・想像性・満足を感じる。

自由時間には一般に取り立ててすることがなく、能力は発揮されておらず、

したがって寂しさ、弱さ、倦怠、不満を感じることが多い。

それにも関らず彼らは仕事を減らし、余暇を増やしたがる。

この矛盾したパタンはなにを意味するのだろうか?

いくつかの説明ができるが、必然的に得られる結論が1つあるように思われる。

仕事に関しては、人々は自分の感覚が得た証拠を重視しない。

彼らは直接的経験の質を無視し、

代わりに仕事とはこのようであるはずだという根強い文化的ステレオタイプに基づく前提に動機づけられている。

彼らは仕事を義務、束縛、自由の侵害と考え、したがってできるだけ避けるべきものと考えている。


自己目的的な自己を発達させるルール

(1) 目標の設定、及びフィードバックを監視する

(2) 活動への没入

(3) 現在起こっていることへの注意集中

(4) 直接的な体験を楽しむことを身につける

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