2011年2月17日木曜日

『経験知』を伝える技術


ドロシー・レナード+ウォルター・スワップ

経験知』を伝える技術 ディープスマートの本質


『経験知=ディープスマート』は、その人の直接の経験に立脚し、

暗黙の知識に基づく洞察を生み出し、

その人の信念と社会的な影響により形づくられる強力な専門知識をさす。


医師の診療技術・知識=ディープスマートはどのように培われ、

それを効率よく移転(教育)するためには、どうしたらよいのか、

という話です。


キーワードは、『知識』『経験』『信念』『レセプター』です。

つまりは、大量の『情報』の海の中から、

その人が『経験』により培ったパターン認識能力によって、

『ディープスマート』を築いていく。


そしてどのような『情報』を取捨選択して『ディープスマート』を築いていくかには、

経験や文化によって培われた『信念』が大きく関与する。


『ディープスマート』を転移するためには、

相手に知識転移のための『レセプター』が必要である。

ということになります。


以下要約です。

エキスパートのディープスマートとは?

複雑な分野では、ディープスマートを築くのは約10年かかる。

エキスパートは、文脈に基づく抽象化された深い知識を持っているので、

基本的な事実関係をいちいち検討しなくても、迅速に決定を下せる。

直観とは、迅速で効率的なパターン認識である。


ディープスマートの組み立てられ方;経験を通じて学ぶ

個人も組織も、時間がたつにつれて経験のレパートリーが増える。

1つの極端な経験しかないとそれ以外の状況ではうまくいかない。

第1にレセプター、第2にモチベーション、第3にフィードバック。

ディープスマートを育むうえで欠かせないのは、計画的な練習をする意欲。

新しい知識を吸収するには、脳内にしかるべきレセプター(受容体)がなくてはならない。

言い換えれば、新しい経験を受け入れる心理状態にあり、

あらかじめ十分な精神度台を持っている必要がある。

その土台がないと、新しい情報はただの情報にとどまり、知識に転換しない。


ディープスマートの形成には信念が関与する

知識とは『正当化された真なる信念』といえる。

自分は自分の個人レベル、専門分野レベル、組織レベル、文化レベルの

中核的信念を真実だと信じており、しかもそうした信念はおおむね暗黙のもので、

変化しにくい。それをほかの信念の体系とすり合わせるのは難しい。

だが、自分の信念が自分だけの固定観念にすぎないとわかれば、議論と相互理解への道が開ける。

あるグループやそのメンバーに強くあこがれると、そのグループは私たちの『部族』になる。

『部族』は私たちの中核的な信念や行動、知識に強い影響を及ぼす。


ディープスマートを移転するためには?

個別具体的な指示や経験則も、学習者の頭にレセプターをつくる役に立つかもしれない。

育成効果が低い順番に、

端的な指示/説明/レクチャー

⇒経験則

⇒体験談

⇒ソクラテスメソッド(対話)

⇒実践を通じた学習(指導のもとでの経験)

指導のもとでの経験が1番重要。

指導のもとでの経験(練習、観察、問題解決、実験)は、

ディープスマートの発達と移転を促進する。

よく考えられた練習を指導するコーチは、練習すべきスキルを選び出し、

学習者に反省を行うように促し、指針となるフィードバックを行う必要がある。

抜粋終了


医師としての『ディープスマート』を少なくとも10年かけて形成していくわけですが、

単に経験をつんだり、知識を詰め込むだけではだめなわけです。

その過程で自分がどんな『信念』に支配されているかに意識的であり、

『信念』の修正が必要であればそうする必要があります。

そのもとで、意識的に、経験、知識を積み上げていく必要があります。

その際に、同じ信念を持ち、ディープスマートを持っているコーチの

指導の下で経験をすることが、効率よく、ディープスマートの形成に

つながるのだと思います。

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